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FXの秘訣は行動心理学(行動経済学)

FXの秘訣は行動心理学(行動経済学)

こうした想像力は、推理小説作家の推理力のようなものです。日常生活のなかで、自分の推理が当たるかどうかを楽しむゲームを繰り返す。FX(為替取引)にしても株式取引にしても、相場を相手にする投資家にとっては最も大事な訓練になるはずです。

そして、その根底にあるのは行動心理学(行動経済学)です。相場が動く理由はただひとつ。それは、「人がそう思うから動く」ということです。人が何かを思い、その思いに沿って行動をするために相場は動く。もっと簡単にいえば、みなが上がると思って買えば上昇するし、逆に下がると思って売れば下落するのです。したがって、市場参加者が何を考えているのか、どういう行動をするのかを事前に分析し先回りすることが、FXに限らず相場で勝つための鉄則なのです。

 

よく、GDPの伸び率が〇〇%だったのでこの通貨が買われるあるいは売られるなどと、もっともらしい理由付けがなされます。しかし、それはエコノミストの仕事です。相場で利益を上げるディーラーは、エコノミストとはまったく異なるタイプのプロフェッショナルだということを、理解しておく必要があるでしょう。替(FX)ディーラーは、細かい経済指標の結果について、それほど関心をもっては見ていません。

為替(FX)ディーラーに必要なのは経済指標を見ることではなく、あくまで「それを受けて投資家がどういう行動を取るのか」を考えることです。経済指標は、投資家にとって為替(FX)や株式などの相場を考える材料にはなりますが、それを動かす要因ではないのです。その要因とは、まさに群集心理学であり、行動心理学なのです。大多数の投資家がどういう行動を取るのかさえ理解していれば、相場は意外と簡単なものなのです。

 

そのように考えるきっかけとなったのは、私がトレーダーになって3年目でしたが、研修を目的としてシカゴに赴いたときの経験でした。シカゴ先物取引所にはトウモロコシや大豆といった穀物、ブロイラーなどの家畜、貴金属などの商品先物だけでなく、債券や通貨などの金融先物も上場されていました。そして、当時この市場での取引に参加していたディーラーには、実はある種の階層がありました

いちばん上のランクが、債券ディーラー。大学院卒が中心です。次の層は金利のディーラーで、大学卒が多かったです。そして、いちばん下の為替や商品のディーラーは、高卒や中卒が大半を占めていました。学歴など関係なく、一夜にして大金持ちになれる一攫千金のチャンスを狙った人達が、集まっていたわけです。そして、実際にそういうチャンスがあったのです。

 

では、学歴の高くはないディーラーが中心になって取引される為替(FX)マーケットとは、一体どういうところなのでしょう。実は、当時、為替(FX)取引が行われている取引所の周囲には、外部からのニュースが流れてくる掲示板すらありませんでした。つまり、取引所外の世界からは、情報面で隔絶された世界だったのです。しかも、トレードを行なっているディーラーは貿易収支を始めとする経済指標についてもまったく見ておらず、無頓着なのです。そういう彼らが何をベースにして売買をしていたのかというと、「市場参加者がどちらのほうを向いて取引しているか」ということのみでした。

 

これには、正直驚きました。というのも、私は為替(FX)ディーラーの職に就く前はドル金利のディーラーでしたが、マネーサプライやGDPなどのさまざまな経済指標をウォッチして、ディールを行なっていたからです。そのため、経済や金融についても一通り勉強していましたし、こうした経済指標がマーケットを動かす要因になるのだと教わってもいました。ところが、シカゴの為替(FX)ディーラーを見ていると、誰も経済指標など気にしていなかったわけです。

一例を挙げますと、ローカルズという取引所は、どのような構造で、どういうことが行われていたのか。ここの中心には、数人のボスがいます。最初は丁稚として取引所に関わったのがトントン拍子で成功し、いまや自己資金を大きく動かしているトレーダーになっています。この周りには、まだそれほどの大金ではないですが、やはり自分の資金で相場に参加している小兵トレーダーがいます。そして、注文を取り次ぐブローカーが彼らを囲み、さらに外側には顧客から注文を受けるブローカーがいる、という4重構造なのです。

ここでの行動パターンは、2つあります。まずは、ボスのツキを見て相場を張ること。狭い取引所のことなので、みな誰がどういうポジションをもっているかはわかっています。あるボスがツイているときには、みながそれに追随したポジションをもちます。逆に、ツイていないとみれば、逆のポジションをもつわけです。

次は、いちばん外側にいる顧客からの注文を受けるブローカーの動きを見て行動することです。この場合の顧客というのは、ポール・テューダー・ジョーンズ、リチャード・デニスという、当時全米で知られていた超大物為替トレーダーです。彼らがフロリダなどから電話で出す注文に応じてブローカーが動けば、「それっ」とばかりにみなが同じ行動を取るのです。正直、「なんだ、これは!」と思いました。

 

そこで気付いたことは、相場は人間の欲望の集合体だということです。お金儲けをしてやろうと考えている欲の皮が突っ張った人達がワーワー動いて、相場が形成されていきます。そこには、経済指標うんぬんなどというものは、さして大きな意味はもちません。まさに大事なことは、市場に参加している投資家が何を考え、どういう行動を取るのかを素早く把握することなのです。

そうした指針が何かないかと考え、行き着いたのがテクニカル分析でした。そして、その勉強に取り組み始めたわけです。