FX(為替)に影響を与える投資と投機(資本取引)

FX(為替)に影響を与える投資と投機(資本取引)

繰り返しになりますが、外国為替(FX)市場での資金移動要因としては、貿易取引と資本取引が挙げられます。「FX(為替)に影響を与える実需(貿易取引)」で触れましたが前者は全体の7%に過ぎず、重要なのは資本取引、つまり投資や投機にともなう移動ということになります。

ところで、投資と投機にはいかなる違いがあるのかご存知でしょうか。投資とは長期的な視野に立ち、元本を何らかの商品で運用することです。したがって、運用金額は元本の範囲内で納められます。投資を行うに際しては経済動向やファンダメンタルズ分析が重要になります。これに対して、投機は短期的な価格の変動を狙うもので、レバレッジをきかせて元本の何倍もの資金を動かすこともあります。

この投資や投機を含む資本取引が、外国為替(FX)相場を動かす最大要因となります。人間の欲望や思惑が最も反映される取引であり、かつ取引の大半を占めるので、為替(FX)相場を考えるうえで欠かせない最も大切なファクターといってもいいでしょう。資本取引にはいろいろな種類がありますが、大別すると直接投資と間接投資となります。

直接投資とは、企業買収や不動産購入をはじめとし、直接モノを売買することに関わる取引です。たとえば、一時はハゲタカファンドとも呼ばれた欧米のプライベート・エクイティ・ファンドが日本企業を買収する場合、ドルを円に替えて売主である日本企業に支払いをします。そのため、欧米ファンドによる日本企業へのM&Aが活発になるほど円買いが増えるため、円高が進みやすくなります。反対に、日本の資産家がハワイに別荘を購入すると手持ちの円をドルに替えて代金を支払うため、円安に一役買うことになります。これらが直接投資と呼ばれるものです。



一方、間接投資とはどういうものでしょうか。これは、基本的に金融商品への投資と考えればいいと思います。外資預金、FX、海外の株や債券や投信の売買も、間接投資に含まれます。株式や債券などの有価証券を売買することを、証券投資といいます。日本の投資家が海外市場の有価証券投資を行う場合を「対外証券投資」、外国人投資家が日本の株式や債券を売買することを「対内証券投資」といいます。対外証券投資、対内証券投資共に、それぞれの金額が公表されています。対外証券投資の金額が対内証券投資の金額を上回っている場合は、円を売って外貨を買う動きのほうが大きくなるため円安要因、逆の場合は、円高要因となります。
個人投資家、機関投資家ヘッジファンドなどが繰り広げる投資や投機の多くは、株式や債券をはじめとする金融商品の売買を通じて行われます。ただし、こうした投資行動も、現地通貨の借入れによって実施されたり、為替リスクを100%ヘッジして行われるケースもあります。数字をそのまま鵜呑みにしないよう、注意してください。

当局による為替介入も、資本取引のひとつといえます。日本の財務省を例にあげると、ドル買い介入をした場合、入手したドルは銀行に預金として預けられるか、米国債券を購入し外貨準備としてストックされるケースが多いです。逆に、ドル売り介入を行う場合は、その外貨準備の一部を取り崩すことにより、外国為替(FX)市場で売却するための外貨を確保するという流れになっています。