FX(為替)の市場規模

FX(為替)の市場規模

次に、FX(為替)取引の基盤となる外国為替市場の大きさを見ていきましょう。それぞれ多少の特殊性はあるものの、どの国の市場も、銀行と顧客で構成しているという基本的な構造に変わりはありません。しかし、活発さの度合いは、異なります。活況を呈している為替(FX)市場とは、取引参加者が多く、取引規模が大きいマーケットを指します。優秀な為替(FX)ディーラーが集まり、ますます活発化し、厚みのある市場となる傾向があります。

なかでも、世界3大マーケットと呼ばれているのが、東京、ロンドン(イギリス)、ニューヨーク(アメリカ)市場です。実際は、2016年のBIS実績値によると、下図が示すように、ロンドンが36.9%、ニューヨークが19.5%を占める一方、東京は6.1%に過ぎず、シンガポール(7.9%)や香港(6.7%)市場の後塵を拝しています

為替(FX)市場規模:出典BIS2016年
為替(FX)市場規模:出典BIS2016年

現在世界一を誇るロンドン為替(FX)市場は、古くから国際的な資金為替の中心地として発展してきました。“通貨のデパート”と呼ばれるほど、世界中のほとんどの国の通貨が取引されています。しかし、2016年6月の国民投票によりEU離脱が決まり(いわゆるブレグジット)、今後も世界一の地位に留まれるのかどうかは、不透明となっています。ニューヨーク為替(FX)市場は、東京為替(FX)市場の参加者の観点では、東京で始まる1日の締めくくりとなる最終マーケットです。また、相場を大きく動かすニュースが、ほかの市場と比べ圧倒的に多いのも特徴です。これは何と言っても、米国が世界の政治経済の中心だからでしょう。

FXを含む為替全体の取引量は、ロンドンを主体とした欧州がおよそ世界の取引の半分を占めています。その後市場が開くニューヨーク、カナダなど北米市場のシェアも考えると、ロンドン市場からニューヨーク市場にかけて、つまり東京時間の夕刻から夜中にかけての為替取引量がもっとも多く、流動性が高いと言えます。ミセスワタナベと呼ばれる日本のFX個人投資家の多くは20〜50代くらいまでの仕事に就いている方が中心ですから、仕事終了後に自宅のパソコンの前で集中して取引ができる恵まれた環境にいる、といえるでしょう。



一方の東京為替(FX)市場ですが、取引の大半はクロス円の取引です。取引規模は、前述のように、現在ではロンドンやニューヨークなどとは比べられないほど小さいです。それでも、1980年代には、高度成長時代後の経済発展と規制緩和による市場整備により、ニューヨーク市場とともにロンドン市場を追い上げていました。しかし、バブル経済の崩壊とその後の失われた20年の間に日本企業のリスク許容度が落ち、連鎖反応的に欧米(外資系)銀行の東京市場での規模縮小、撤退が進行、市場は縮小しました。

為替の流動性から見ると、取引規模が小さければ、スプレッドが広がったり(スリップページ)、取引をクローズしたくても取引レートが表示されないケースが起こります。しかし、東京と同じ時間帯に市場がオープンしているシンガポール、香港、シドニーなどを合わせたアジア為替(FX)市場全体で見ると、世界全体の20%強を占めます。FXを手がける個人投資家が、日中、東京市場のオープン時間に取引するために充分な取引環境・流動性は、確保されているのです。

近年、日本ではFXが人気化し、東京為替(FX)市場での日本の個人投資家の取引高は、全体の5割を占めると言われています。とはいえ、その5割の個人投資家が手を組んでいっせいに同じ通貨を売買するわけではありません。つまり、個々の取引量はわずかなものです。例を挙げると、証拠金1000万円として、レバレッジ25倍、1ドル=100円のときでさえ、250万ドル(1000万円✖25倍➗100円)がいいところです。FXは余剰資金で行うということ(証拠金を1000万円積める人は少数)と、レバレッジが2018年から最大10倍に規制されるという金融庁の発表(2018年9月現在現在の25倍が継続されている)を考慮すると、実際はもっと少額となるでしょう。

外国為替市場の1日の取引高は、2016年には全世界で5兆ドルを超えました。個人投資家が最大のレバレッジをかけても、グローバルな取引量には太刀打ちできないことは、一目瞭然です。ましてやプロの為替ディーラーのように、一個人の力で為替(FX)相場を動かせるものではありません。「多勢に無勢」であるということです。こうしたFXを取り巻く環境を理解したうえで、みなさんは個人投資家としての収益確保の方策を見出す必要があります